SONY MDR-NC32NX

ノイズキャンセリングヘッドホン
定価11800円


最近カナル型のヘッドホンが増えてきてすごい迷う。しかも高級化傾向だし楽C。ポータブルでひととおり試聴した。
エムオーディオのSuper.fi 3 Studioはエコートーン。
エスモティックリサーチは色気があった。ピアノのタッチは太くて変。
DENONAH-C700は独自のアコースティックオプティマイザー構造による音響が支配的。頭の後ろや肩に気持ちよく拡がる感覚がある。AH-C350はそれより太い音の傾向で、音響的に面白いようにも感じた。でもこちらはピアノがだめだった。AH-C700はかつてのダイアトーンのようにそのまま余計に響かさずに出す。音の調子が保たれているけどキャビの高剛性らしい静けさよりも、出力のサーサーしたノイズが目立つ。高級なイヤホンだなぁという印象。
audio-technicaATH-CM700はSANSUIのMRのようなサウンド。硬いけどそこに魅力がある。ATH-CK6はSANSUIのXRのようなサウンド。
JBLにもカナル型があった。カナル型ブームなのかな。音はニュートラルだが厚みは普通だった。JBLサウンドがカナル型で体験できるなんて甘いか。
SHUREE4C以上のモデルがよかった。E3Cはちょっとぼわついた。E5Cはみっちりした構築性でまとまっている。でもホスピタルグレードとでも言いたいかのような値段がする。
AKGK324Pはとてもスムージーで聞きやすかった。ALR JORDANとかPIEGAという感じだった。
SONYのEX90SL/EX85SLは素粒子的トーン。何を再現させてもマトモ。低音出すぎることもなく色気もそっけないけどJazzでもClassicでも違和感なく聴ける。自然なピアノだった。明晰だが鋭角もなく、いちばん普遍的なバランス。フォルテも苦しくない。
この日に一番気に入ったのはFOCAL社v-moda vibe 000007(ver.1)だった。AKGに比べるとややこんもりするけど実体のある解像音で粘りがあり、正しい大きさの楽音を保ち音響感はうわついてなくピアノもよい。最近のデジタルポータブルに向けて微細部に調音結合をもたせているのか、心地よく時間前後に繋がる。これは16000円という値段だけどパッケージの箱は小さくてへたれてた。でもヘッドホン本体はしっかりした造りでコードは細めながらメタルで丈夫そう、ゴムの皮膜より絡みにくいしなやかな材質。イヤキャップは硬めだけど装着感は普通にしっくりくる。アルミ合金製のハウジングもジェットエンジン。
それら総てを聴き尽したあとに今まで使っていたMDR-EX71SLに戻るとほんとスカスカの音に感じた。まぁ4000円だから。でもそのスカスカにも次第に慣れてそれが普通になってくるので、高級なやつでも同じかな(・z・) とか言い聞かせたり



MDR-NC32NX

+++ REMARKS +++
あれだけ試聴したあげく、結局は実用性を考えて試聴してないMDR-NC32NXを買ってしまったのでした。SONYのカナル型ノイズキャンセリングは初代MDR-NC10からのおなじみだけど、10年経った今のやつはどんなふうになってるのだろうとの興味があって。これはNC22/NC32NXはMDR-NC11を経て三世代目。NC22にネックストラップのついてる版のNC32EXは、相当のこだわりと合理性が感じられる。その特質を順にあげると
コードの皮膜は繊維製で、断線とか劣化しにくい布みたいな材質。
単四の乾電池は肩掛けのネックストラップの中に入るようになってる。電池寿命はやたらと長く、今のとこ200時間以上使えてる。公表では60時間だけど、多分これは効率や音質との兼ね合いだと思う。そう考えると、電圧が下がるにつれ、徐々にS/Nが落ちてきた印象がないこともない。
ネックストラップはこの機種においてはかなり合理的で、電池の重さにひっぱられたりせずうっとうしくない。
◎また、コードが左右で分離するため、ほとんど絡まない。かぶるだけで使える。
AVLSをオンのままで電車で聴ける。電車の騒音が消える。これ久々の体験でなつかしい。ノイズキャンセリングの精度はNC10とさほど変わってないけど、静けさが増した。装置のS/Nはだいぶ向上している。サーっといわなくなった。またNC10はノイズキャンセリングをONにすると干渉による音痩せがかすかに生じ、高域など硬質になるところがあったけどそれがほとんどない。
ドライバーユニットはEX85SLと同等だと思う。NC32/NC22はノイズキャンセリング装置で接点が増えるというのがウイークポイントで、音の純度にはそんな神経質にならないけどON/OFFのスイッチが雨でぬれると心配になる。でもスイッチ本体はNC10よりも密閉度高そうなので、NC10ほどはガリが生じたりスイッチが効かなくなったりはしないと思う。修理費は2000円以内だった記憶がするけど。
音質の傾向としては、アシヤガイのような音響通路のあったNC10は 低域がかなり下のほうまで沈んでゆく心地がしていたけど、このNC32NXは節度のあるバランスが保たれたまま ピュアで繊細な分解能が高められた印象。音のよさに慣れたあとでもディテールの聴きやすさとかはちゃんと実感できる。やっぱりいい音だと音楽も楽しい。(・z・)
+++ A Proscript Note +++
その後一年半使い、なんら不満なく活きていたけど、微妙に断線気味になったのと、ストラップの接合部になんでこんな脆い部分が!?という箇所があって(何かに引っ張られた際に首つり状態にならない為にか)ぶっ壊れたので、まだ使えた(セロテープを巻いて使ってた)けどビッグカメラに行ったついでに修理に出した。返品交換で\6580程。店員は「店頭で新品で買うより高くなる」との観測をしてたけど安くて良かった。新品のNX31は解像が細身で、フェーズと波形がすっきり洗練されているように感じた。イヤホンでエージングは気にしてなかったのだけど、一年半使った物は音がふくよかにこなれてて弾性が出ていた。
MDR-NC22/NC32NXはカナル型なりにも軽くて爽やかな音質が気に入っていて手放せない。しかし一年半で交換する(NC22なら2年半)(希望的観測)ことが前提になるので、次ぶっ壊れるまでに新しいモデルが出てほしいな。購入→壊れる→返品交換→壊れる→ちょうど新しいモデルが発売、というサイクルで。

+++ A Proscript Note 2 +++
それから3年経過しました。しばらく放置してたら樹脂が溶けてました。まぁ、充分に使い尽くしたのでよいかな。
これは機械的で冷たい音色だけど突き抜けてる音だった。現行のものと甲乙つけられない。
ネックストラップが弧を描いて形状記憶されているため、LchとRchが離れてコードがほとんど絡まなかったところが本当に良かった。
あと、アナログのノイズキャンセリングは、今思うととてもヒューマンな効果があった。スイッチを入れるとポッとか音がした。サーーと鳴っていた。ノイズが消される感じもデジタルタイプより自然な感じで良かった。



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